夢実現・目標達成のための考え方と心身声のトレーニング(旧:ヴォイストレーナーの選び方)

声、発声、聞くこと、ヴォイストレーニングに関心のある人に( 1本版は、https://infobvt.wordpress.com/ をご利用ください。)

先に与えない

一般の人に一流の作品に接させたら、トレーナーは、その本質に至るための邪魔をとる、それでよいのです。それが理想的です。「語らず教えず」でよいのです。

 それでは、生徒はわからないというので、やさしい先生は、すぐに丁寧に教えだします。「私の通りに」とか、「こういうふうに」と。生徒が欲しているならまだましです。欲していないのに先に与える、教えたいから教えているのが、今の風潮です。教える人が、教えているという充実感、満足に囚われているのです。

 トレーナーがこうして、一つ先に早く進めて、そこから先にさえ行けないプロセスにしてしまうのです。一つ先に連れていかれたのがすべてとなって、それが百歩の中の一歩とも気づかないからです。

 昔から師に可愛がられ、早くいろんな技を教えてもらい、早く師のようなまねができるようになった人は、およそ大成しないものです。それは、結果の形をまねただけで、プロセスで気づいて自ら体得していくものを得ていないからです。形はつくけど実はない。丸暗記で覚え、正しく言えるけれども内容は把握していないので伝わらないのです。

 教えて、潰してしまう。師の形でしかできなくしてしまうのは、大きな誤りです。それを後継者とする、他で通じなくしてしまうからこそ、形として続く家元制もたくさんあるのです。