我慢強い世代は、日本にもいました。いや、日本人全体、我慢強い方だったと思います。しかし、軍隊や会社など、組織では強いタイプが、自由な中では個として、強くないともいいます。たまに逆のタイプもいますが、今やどちらでも強いといえない、強くありたいとも思わなくなった日本人になってきたようです。
頭でイメージして理想を固めていくだけでは無理があります。現実は思うままにいかないのです。アプローチとしては、強制も自由もどちらも有効だと思うのです。そこからは、体が固くなって心も自由になっていないところで限界になります。
レッスンは、ときとして、そこまで突き詰め、追いつめて、早く大きな限界を目前にイメージさせ、一瞬でも現出させることを要します。
一流に憧れ、やり始める時期は、誰でも幸せです。夢と未来しかないからです。下に落ちることもなければ、停滞もしません。やった分だけよくなっていくからです。そのまま続くということがレッスンになっているとしたら、少なくともアーティストへのプロセスではありません。ありえるとしたら、その人が修羅場続きの本番をもち、そのフォローとしてメンタルトレーニングにレッスンを使っているケースです。それを専らとしているトレーナー、カウンセラーはいます。私たちも一部、それを担っています。しかし、それだけの場が与えられていないなら、本番以上の正念場としてレッスンはあるべきでしょう。