呼吸をよくすれば、全てが解決すると思って始めるような呼吸法はよくありません。私は、本には、体―呼吸―発声の順で書き進めていますが、唯一、カラオケの本はステージから書き始めました。
レッスンは、体や呼吸から始めるときもありますが、歌やせりふ、フレーズを聞いたり、声に出してもらい、そこでうまくいかないところをみていきます。およそわかったら、発声のなかで呼吸をみます。呼吸だけのトレーニングは、その後に触れます。
多くの人が呼吸(法)を身につけられないのは、その必要性をわかっていないからです。本やレッスンで学ぼうとして、メニュや方法を調べてやっているわけです。最近では生理学や解剖学まで学べます。そういう周辺のことに気を使っているわけです。伝わらないのは、できていないことを知るプロセスがないからです。
大切なのは、必要性を体でわかることです。体で足りないととことん思わなければ、変わりようもありません。なぜ、すでに“正しく”生きていてしゃべれている、しぜんに一体として使えている呼吸が変わるのでしょうか。腹筋トレーニングの上体起こしなど腹筋と呼吸トレーニングの関連については、筋力は大切ですが、それだけで声に結びつくのではないということです。