外国人ヴォーカリストの例として、エディット・ピアフの見出したアーティストを聞いてみましょう。シャルル・アズナブール、イブ・モンタン、シャルル・デュモン、テオは、この順で声力、歌力がすぐれています。ジョルジュ・ムスタキなどは、別の流れに思えます。
有名とか無名ということでないのですが、耳の肥えた国、聴き手が自立している国では、大衆の好みや支持、つまり、人気とアーティストの実力は一致します。日本でも1960年代まででしょうか。ポップスの台頭時には、あるところまでは一致していました。
ラジオとレコードが歌を大衆化させたのですから、ルックス、スタイル、ステージパフォーマンスよりも、声力、歌唱力が評価として優秀でした。歌を耳だけで判断していたのですから、あたりまえのことです。今やオペラでさえ、ルックスやスタイルの問われる時代です。耳の力が落ちていくのは、当然といえます。