日本においても、声のベース、体-息=声-共鳴までの器づくりにおいて、それなりにできているのは、邦楽(詩吟、声明などを含む)と声楽家です。演奏や歌については、それぞれの価値観、時代と場と客の好みもありますから除外します。
一括りにしても、一人ひとり、かなり異なりますが、声でみます。次に、トレーニングをするとして、他の人と上達のプロセスを共有できるかということでみます。
邦楽は分野別、流派別があって、長唄くらいでみないと、なかなか難しいでしょう。研究所では、分野を超えて基礎を教える必要がありますから、なおさらです。
声楽家でも、演奏ではなくトレーナーとして、声の基礎を声楽志願者以外の人と共有できるかというと、普通は難しいです。研究所のトレーナーでもしっかりと対応できるまでに3年くらいはかかっています。
早く力をつけたければ、ハイレベルで難しい相手と経験することです。プロや一流の人がくる一方で、医者から紹介された、一般の人よりもハンディのある人もくる研究所では、その点、恵まれています。早く苦労し失敗する経験を積めるかです。他のトレーナーにもフォローされつつ、ゼロからやり直すくらいでこそ、それまでの経験も応用されていきます。そして相手に応じて用いることができるようになるのです。そこに以前に学んだことも加わって、その人の中でそれなりに体系化していくからです。