夢実現・目標達成のための考え方と心身声のトレーニング(旧:ヴォイストレーナーの選び方)

声、発声、聞くこと、ヴォイストレーニングに関心のある人に( 1本版は、https://infobvt.wordpress.com/ をご利用ください。)

配分か積み増しか

声について、自分の体から考えること(この体には感覚も含みます)そして、人間の体から考えることです。世の中のすべてのものは、声についての見本、参考になります。

 器を論じたのは、私の最初の本「基本講座」からです。そこには、器が10なら声域に5、声量に5使っていたのを、レッスンで声域8、音量2にしてしまうようなことを述べてあります。

 しっかりした声が1オクターブも出ないのに、高音を出せるようにしたら、声量が高音だけでなく中低音も減じるのです。それは、バランスを正方形から上下へ長方形にしたようなものです。器は大きくなっていない、まして、カラオケレッスンでは、三角形にして器を小さくしていくみたいなものでしょう。それでトレーナーもうまく教えたと思い、歌い手もそれを望んでいた、のですから、それはそれでよいこととしておきます。ここでも、それを便宜的に実践してもいるからです。

 高音はともかく、中低音のときに今まで以上に声量が使えなくなり、ことばやパワーが減じている、ですから、できたというのでなく、そういう使い方を学んだとして把握しなくてはいけないのです。なのに、トレーナーはその声量では高いところが出せないから抑えるようにさせます。それは、声域の拡張のために大切なポイントです。しかし、そのこととその声量(共鳴を含む)でその音が出ないのとは違います。本来、優先すべきは声質です。

 全体を鍛えて、仮に16の器になれたら、声域8、声量8でバランスがとれるのに、その必要性に気づかない。それどころか、さらに声域9、声量1にしていくのが、ほとんどのレッスンということです。

 それなら、声域2、声量8にしてみると、よほどはっきりします。半オクターブもなければ、次には自ずと声域に向かうので、いつか16になる。器が大きくなる。これが、かつてプロが育ったプロセスです。そして、当初の私のアプローチでした。でも、表面しかみない人、急いでいる人は、声域が狭くなると、下手になったとか出し方を間違っていると思うのです。

 先にパワーを減じてバランスをとって、きれいな形を創りあげると、後からパワーやインパクトをつけるのは難しいのです。だから日本人の歌い手は表現に踏み込めない、声ではみ出せないのです。