素の質、ということをよく考えます。
先日、囲碁の武宮九段にお話を伺いました。氏は13歳でプロとなられたので、「13歳の子をみて、わかるものですか」と尋ねると、「すぐわかる」ということでした。筋や勘のようなものでしょうか。
私も多くの人を、若いところから、その20年30年先をみてきました。齢を重ねるとは、そういうことです。
そのうち、第一印象、プラス、レッスンでの感触で、ほぼわかるようになってきたものです。というのも、この世界でやっていけると思った人以外は、結果として残っていないからです。
そういう人は、アカの他人がファンになるのですから、人を惹きつける何らかの要素が出ていなくてはなりません。もちろん、気配りや世渡りの才能というものもあります。それも時代とともに変わるのです。
例えば、テレビは、よくも悪くも視覚優位ですから、「素として光る」ものを選びます。そのために音声としては、素人の時代を築きました。人気を得るもののオーラの質が大きく変わったのです。素人には、よくも悪くも素の質が出ています。隠すすべを知らないからです。素から育っていくと長持ちするのです。そう考えると、本当のスターの時代は、完璧なまでに日常を封印していた寅さんあたりで終わったのかもしれません。
ときおり、どこかで急に化ける人もいますから、例外はあります。例外を出すのをよしとして、ここは存続しています。