役者は、他人に教えるケースも多いのでしょう。後輩にアドバイスを求められるので、確実なことを教えたいと勉強し始める。それはよいことですが、発声の知識を教えることは教えやすいだけで違います。そこから悪循環が始まります。これは、他人によかれと思って行い、受け手もありがたく思う善意のスパイラルだけに手におえません。知識をもって、それに囚われることで演技や歌が鈍くなることは少なくありません。
私の本もそれを助長してしまったでしょうか。本を読むのはよいことですが、それをそのまま教えるのは、よいこととは限りません。却って混乱や中途半端な結果をもたらすことが多いはずです。
基本については、その先まできちんとみえていないと、伝えられないものです。少し悪い方へ出るだけでオタオタしてしまうでしょう。他の人のノウハウなどそんなものです。