歌手や役者にとって実践的なのがよいのは、当然のことです。ですから、ここでも今、ステージや行っている曲やせりふをそのまま使うことはよくあります。その録音で評価したり、直すところを指導することもあります。トレーナーが手本を見せ、それをまねさせる、こういうのも行っています。
しかし、実践と基礎の結びつきから、その基礎を学び、身につけることの必要性を伝えています。そのために実践から入っているということです。
つまり、なぜ、実践できていないのか、そこで指導しても直せる要素があったのに、なぜ直らなかったのか、直しても直らなかったのか、ということです。 それは結論からいうと、基礎の力がないからです。基礎をつける必要があるのです。
もちろん、短期で実践だけでよいとか、ステージ対応だけでよいと言う人には、それでよいと思っています。 その人の求めるところに対応するのが、トレーナーの仕事でもあるからです。しかし、ここは研究所であり、アーティストのいる場ですから、それ以上のものをバックボーンとして用意しています。求めるものを与えるだけなら、こんな説明はいりません。
基礎がないというよりも、基礎が足らないのです。足りないというと3年、5年、10年と足らないのですから、その人の求められる表現、つまり、応用に対して最低限、そこに足りないところまで力を付けるのが、私のいう実践的ということです。本当は余るほどの力をつけないと表現は自由になりません。一生、トレーニングも変化し続けるというのが、本来のあり様なのです。