効率よくメリットが得られるものを求めても、それでは本当には続かないのです。それは、小賢しくそのままであることを欲するからです。大きく変わることがないからです。それゆえ、そういうことを勧めると売れるし、番組や本もそういうことをくり返し伝えようとします。
本当はそうでないものが大切です。効果もメリットも示されずに行うことを必要とするものが重要です。行動が変わるからです。
人は、他人に言われても、言われたようにはしないものです。現状のキープ、あるいは、元に戻ろうとします。
マイナスからゼロでなくプラスにしたいという強い思いがあっても、変化するということは、その前にわからないことです。
トレーナーも、本当はこうなる、こういうメリット、効果があるなど、先に知らせない方がよいのです。一人ひとりが自分の答を得るのに、ヴォイトレを使うのであり、説明できるものではないのです。本人もなまじ知らない方がよいのです。
だからこそ、ルーティン化が必要です。同じことをくり返すのです。わかったと思って、本当の問題や現実から目を背けることがほとんどです。それを求めずにただ続けるのです。
トレーナーが専ら説明して納得させようとすると、その人は、そこで満足します。トレーナーを尊敬するようになるでしょう。しかし、本人が自分の問題へ取り組むことを逃してしまいかねません。
現実は、実践でしか対することができません。続けるには、今ここを優先させることです。手元に一点に集中する、一体化する、同調することです。全身を声にすること、有機的である体を充分に使えるようになることです。