私は、昔、自分の判断に自信がもてないとき、歌に関しては、すぐれた歌手の○○なら、こう歌う、あるいは、こう判断すると置き換えてみました。役者のときも、噺家のときも、一流のアーティストを体に入れておけば、彼らの体感覚で補ってくれるからです。
次に、トレーナーや指導者のそういうものを取り入れました。その場合は、丸々コピーしたことはありませんが、いつも補うということが大切なのです。今も、この研究所では、多くのトレーナーがいて、私に教えてくれます。
その記憶が体にどこまで残っているかが問われるのです。それが、ことばでうまく取り出せるなら、よいトレーナーです。
アーティストとしての感覚を私は、生涯2度ほど得たのです。その記憶は頭にあって、イメージ、体での再現はできていないのです。それができていたらどうだったでしょう。いや、常にできている人が本当のアーティストなのかもしれません。