芸術の多くは、いえ、ややこしいので、たとえば、舞台の演劇としましょう、それはまさに虚構の世界です。しかし、そこで私たちが共感してリアルを感じます。現実以上に現実感を感じることがあります。それをリアリティとかリアルと言って、求められてきたわけです。
それは、観る人、聴く人、感じる人のなかに生じることです。もちろん、劇なら演じている側が役に没入しているから、そう働きかけるのです。
フィクションは、ノンフィクションでは伝えられないものを伝えるためにあります。とはいえ、純粋なノンフィクションはありえません。どこまでも主観的に捉えた世界に、私たちは生きているからです。