マンネリを防ぐのは、表現の世界での具体的なアプローチをしていくことです。
歌がうまくなりたい。自分の歌が歌いたい。これに声だけが出ても無理です。リズムや音程のトレーニングをしても無理です。一流の人が学んだのに習います。時間や量を効率化するのが、トレーニングです。レッスンの課題をペースメーカーにします。
よく例に出すのは、聞き込みの課題ノルマです。月20曲(カンツォーネ4、シャンソン、エスニック4、歌謡曲4、日本曲4、自由曲4)で1年間240曲です。ここから20曲セレクトします。2年後には、翌年分240曲から選んだ20曲と合わせてレパートリー40曲ですが、そこから20曲に絞ります。5年ではレパートリー100曲から、本当に人前に出せる20曲、トータルの練習曲数は240曲×5=1200曲。10年なら2400曲ですね。量としてはこのくらいで最低レベルであり、プロのベースと考えています。
歌える人ならたくさんいますが、オリジナリティとして、自分の世界を、プログラムして、意図的に(それがトレーニングですから)作っていくなら、このくらいをベースに入れなくては、何も出てこないでしょう。
一流のプロは、質もともかく、圧倒的なインプット、ストックがあります。これにトレーニングを加え、レッスンでは、1フレーズでも、1曲でも、質、気づきを与えます。聞き方、感じ方を変えていきます。体―感覚の相互作用で、効果を出していくのです。頭は、このことで工夫して、フィードバックするのに使うのです。