19.ヴォイストレーニングの考え方
実践と練習をどう区切るのかは、それぞれに違います。本番、試合、ステージで行うことを一時ストップして、それと別のことを練習として行うのです。実践の経験は大切ですが、それだけでは向上はしないからです。 レッスンにも実践的なことを求める人は多いの…
人は、何かを見るときに、すでにフィルターをかけてみています。そのことは数多くの実験で実証されています。このフィルターがどうなのかを少しでも知っていくことです。フィルターを外したら何も認識できないから、より、たくさんもっているのがプロなのか…
1.知ってもすぐ役立たないこと。 2.現実と結びつけていないこと。 これらをトレーニングとするのです。経験だけでなく、その方法や気づき方、イメージを知ることが大切です。
人は、すべてを経験することはできません。早熟で世に出る人などは、生きてきた時間もそのことに接した時間も、長くその道にいる人より短いのです。だから、よほど努力しないと続きません。 プロに1万時間が必要といっても、2万時間や3万時間を経たからとい…
自由を妨げるものを使うことで力がつく、これがトレーニングの原則です。ですから、自由を広げる補助ツールを使うと力はつかなくなります。 たとえば、マイクやカラオケ機器というお助けツールを使うと、早くうまく聞こえるようになります。それは、そのよう…
バスケットでの選手の動きとボールの関係で例えます。プロでも、一流ほど、それは一体化していきます。それぞれの選手がバラバラで動いていても、距離も時間も系として、一定の間隔を保ったまま、瞬時に変化し続けます。 感覚として個別にみるてみると、ドリ…
基本練習、一万回といわれます。それは何をくり返すのでしょうか。発声か、一曲の歌か、それともフレーズかということです。いくつもの発声がフレーズでも一つに絞られていくのは、取捨選択でなく、一つに結びつくからです。ここが大切なポイントです。 流れ…
流れていて止まらない感覚、たとえば、道路で判断できずに車を止めてしまうのは初心者です。動いているなかにいるときは、動きながら判断しなくては危険です。時速60キロの流れで60キロ出していたらぶつかりません。同じ流れのなかなら61キロの車とぶつかっ…
目的をもって正しく学ぶ、のですが、そこで、何のためにということも、正しいということもあまり考えずに、ただ行うことからでよいと思うのです。 目的にそぐわないものはやらないとか、正しいことだけやると思っても、できません。その判断をあなた自身でし…
声魂、声に魂を入れること、声も歌の心のように考えてみるとよいと思います。ヴォイトレも、お寺で「般若心経」を唱えるようなものになればよいし、ヴォイトレが毎日の読経になるなら理想的です。
自分の判断や評価が適切でなかったと、後で再考することはよくあります。誰が何をもって、どう考えるのかは難しい問題です。自分以外の立場や価値観を知るのには、相当の経験とフィードバックが必要です。 欠点を指摘されず、周りがカバーして、あるところま…
何かを行い、続けていく以上、それは何かの考えが生じ、それに基づいて行っていくようになります。そこで、しばしば、固定観念の塊となるのです。「自由に」といっているうちは、「自由にできない」のです。それに囚われている限り、もっとも自由になれない…
聞き手は、そのときの気分によって評価も変わるものです。なので、周りのことは気にしないことです。他の作品と比べて相対的に評価するのは、説明のための説明です。 私は絶対評価を第一にしています。比べられるところで、すでに何ら価値はないからです。で…
すぐれた人や周りの人と自分を比べても、大して何もわからないこともあります。そういうときは、共通点やルールらしきものをみつけて、それに照らして自分をみるのです。それが基準、材料です。そこで自らが囚われているもの、固められているもの、成長、上…
気を遣うことば、失礼のないことばを選んで正しく言うことで終わっていませんか。 気遣うのはよいことで、マナーでもあります。しかし、ただ気遣っているのでは、きちんと正しく聞こえて機能面ではよくなっても、声は固まってきます。 私たちは、アナウンサ…
形として固まること、固定することからの解放は、声のためにとても大切なことです。感情豊かに表現する、これも、ことばや声で本音をストレートに出してしまうと、ビジネスマン、社会人としては失格です。しかし、アーティストとして、それがないと一流にな…
自らの思うところが、どこかまでかを捉えてみましょう。それによってできたということが、その次のレベルに行くための障害になっている例は実に多いのです。だからこそ、解放とかリセットなどと言われるのです。成功体験に囚われて失敗する、伸びなくなるの…
ビギナーズラックが最も起こりやすいものとして、話やスピーチなどと似て、歌はど素人が、なりふりかまわずやって、プロより受けることもあるのです。 歌唱や発声は、体を動かすこと、体操のように考えてみるのもよいと思います。声を動かすと言っていますが…
声に集中して、声そのものと一体化するのが理想です。しかし、理想は難しいことなので、ヴォイトレでは要素別に分けてアプローチすることになります。高さ、大きさ、長さ、勢い、音色、響きなどを、それぞれで感じてみましょう。わかりにくければ、高さ―音色…
私が思うに、ヴォイトレをしている人でさえ、ほとんど自分の声の音色には関心がいっていないようです。日常に使っている声といっても、多くは、発音や滑舌、喉の調子などを気にかけるくらいでしょう。正しさ、明瞭さ、勢いなどの機能と印象で聞いているだけ…
効率よくメリットが得られるものを求めても、それでは本当には続かないのです。それは、小賢しくそのままであることを欲するからです。大きく変わることがないからです。それゆえ、そういうことを勧めると売れるし、番組や本もそういうことをくり返し伝えよ…
声は楽器が体内にあるので、楽器や道具との一体感などということ以前に、すでにシンクロしています。すでにそうなっているために、うまくいっていないだけに厄介なのです。 1.距離がとれない。2.心身の影響をそのまま受けてしまう。3.取り替えられない 楽…
表現→声でなく、声→表現に、ヴォイトレは、基礎→応用とすることです。 a.体→呼吸→声→共鳴→フレーズ b.声→発音→ことば→歌詞 c.リズム→メロディ→フレーズ 左側が原点、右側へ行くほど応用です。体と声を一体化させていく、せりふ、歌にする。 そのための声…
トレーニングで出せる声以上のものは、ステージで出ません。しかし、スポーツなどと同様、観客のパワーやTPOでの集中力、テンションにおいて、ステージで大きく化けることがあります。練習では全力で、ステージでは人に伝わるように、よい意味で抑制がかかる…
ステージで思いっきり声を出す、といっても、コントロールできるのは70パーセント、マックスで80パーセントでしょう。100パーセントのときは、もしありえたとしたら、多分、全能感しかないはずです。 日本のクラシックならもっと制限するというのが真っ当か…
歌の練習とヴォイトレの勉強は、異なるのです。難しいのは、ヴォイトレに歌の判断、つまり、自分の今、歌っている声での歌い方、技術的な改良を即効的に学ぶべきものと思っているケースです。高く出せればよいとか、大きく出せればよいと思うと、早いやり方…
応用の応用と基本の基本は、真逆であるといえるのです。 共鳴、発声、体については、調子がよいとき以外、伸びや響きが不安定です。発声の安定については、「常にいくらでも使えるのか」でみるとよいでしょう。休みを入れないと回復しないとか、声量を抑えて…
有名であったり活躍していたら、本人は、自らの実績に基づいた自信があるので、時間のかかるときがあります。感覚も体も、よくも悪くも年々変わるので、過去のことは過去のものです。 専門が声ではないケース、他の分野の活躍の実績上の歌なら、声については…
子供を合唱団に入れるか、演劇部に入れるか、相談を受けたことがあります。どちらでもかまわないと思います。子供に選ばせるのがよいかとなると、本当は問題です。でも親が責任をとれないのですから、本人のやりたい方に、となります。好きな方、興味がもて…
モチベーションを高めるには、大きな声を出せばよい、すると皆、それにつられるからです。つられて声も出ます。代表は応援団の発声です。子どもやメンタルで縮こまっている人には効果大です。 とはいえ、一部の人を除き、そこに基礎とのつながりや、その先に…