05.声域/声区/ミックスヴォイス
声域を、最短で3オクターブにします、それどころか、誰でも5オクターブにします、というようなトレーナーもいます。 歌は1オクターブ半しかないのに何を目指していくのか、大切なものを犠牲にしかねません。 試みる分にはよいのですが、下手にそれで固めると…
大体、歌の歌唱の声域は1オクターブ半くらいです。 3オクターブを出せても、無用です。そういう人は、声量や音色でチェックします。 3オクターブを持っているのに一音もまともに使えないケースが少なくありません。
声域よりも声をどこまで使えるかということの方が、プロには、大切です。 大きく歌えばよいということでもありません。どれだけメリハリをつけて、ていねいに歌いあげるのかでしょう。
低い声には、限度はあります、どこに当てる、ということではありません。身体全体が響いているのが理想です。肩から上では、響かなくても声にはなります。響かせるにも、いろいろとありますが、どこでもいいのです。一点に集中していて他の緊張がとれればい…
ミュージカルやオペラになると、原調で、それなりに声域が広く、高い声を出せる人が有利になっています。 海外だと中低音が豊かな人が認められ、そこでハードなトレーニングを積むから、ドラマティックなものになっていくのです。
日本の場合は、生まれつき高い声が出ている歌の多くは、中高生の頃からその声が出ているものです。もともと出なかった人には不可能で、ハードなトレーニングでできるようになったところでやっと同じレベルなら、元からいる人のほうがいい、となってしまいま…
高い声は、ある程度、出していたら出るようにはなるが、それ以上のことが求められます。 出るようになったけれど、通用しない、さらに高い声が求められる、など。 重要なのは、自分でできることは、自分に一番いい声を見つけ、それを確実に出せるようになる…
ミックスヴォイスとは、地声から裏声に変わるところの声をいうのでしょうか、と聞かれることがあります。それは、音楽用語でなく、イメージ的に使われてきた言葉なので、使う人によって違い、かなり混乱していると思われます。 地声から裏声に変わるところの…
ミのフラットからソまでの間の半音5つの音を、パッサッジョ、つまり、声の切り替えとすることが多いです。
私が考えるのは、いつも表現としての、その人の最大の可能性です。2、3年で限界が来るようなことを行うのでは、基礎トレーニングではないから、最初に、それも踏まえてあらゆる可能性についてお話しするわけです。優先度や重要度について相互に了解するため…
これまでの中音域でのボリューム感が失われたり、低音域が出にくくなったり、声量やパワーがなくなったとしても、それが発声法と思って、固めていくわけです。安定すると固めるとは、全然違うことです。 調整とは、器を大きくするのではなく、器の形を変える…
発声法としてマスターしてしてしまうと、その発声方法のために、将来もっと伸びるはずだったところに限界が来るわけです。ですから小手先のテクニックや応用のほうに気を取られてはいけないと再三、いっているのです。
もちろん、それでいいという人もいるし、それが必要であり、他のことを重視しない人もいます。そこはその人の自由です。高い音に届かないときは、そればかりに悩むものです。そして、そこは教えやすいテクニックなので、求められたら対応するのもよくわかり…
根っこを深くしないと高くも伸びないのですが、多くの人が高く届かせることばかり考えるわけです。これも簡単にたとえますが、例えば、今の声の使い方を、高い声を出したいということで、上に引き上げたとします。すると、多くの場合、2、3ヶ月もたたないう…
目的がその音に届かせるということであれば、それでよいわけです。カラオケなどはスムーズにこなせるようになるでしょう。 ただ私の思う歌に対応する力というのであれば、そこに表現力が伴わなくてはなりません。むしろ、それが劣ってしまうことが多いのです…
教えるときには、声量を抑えて細い声にして、その分、声域として縦に細長く、その方向へ伸長すればよいのです。それは私がいうところの調整であり、トレーニングというよりは、一種のトリックです。そのために器が大きくなったのではなく、器の形を変えただ…
声域も声量もできるところまで拡げておけばよいのです。 声域の場合は、それを目標にがんばってしまうため、そうした無理がもっと大切な要素を失わせてしまうというリスクがあるから、お勧めしないのです。 声量でも、がなったり無理な出し方をしていると、…
声域の場合は、なぜかしら、高く出る方が凄いと思ったり、その音に当てるだけを目標にして、くせがつけて固めていることに気づかない人が多いから、注意するのです。 指導者も高音域を売りにするわけです。 ポップスの場合は、どういう声でも通用する例があ…
声域は、狭いよりは広いほうがよいというくらいです。3オクターブをめざしたいなどというのは、両手を広げても届かない鍵盤のピアノのほうが楽器として優れていると勘違いするようなものです。 そういうことを売りにするトレーナーがいてもいいし、それに挑…
クラシックでは、19世紀の初頭までは、テノールでさえ2点イのAのところまででした。その上は頭声、ファルセットを使っていました。やわらかい響きを好んでいたのです。それが、19世紀からどんどん高くなっていきました。ポップスも1970年以降に、似た動きと…
ミックスヴォイスの流行は、一時の現象と思っていたのですが、いろんな論文などでも取り扱われています。学会などで数人の異なる発声を全てミックスヴォイスと、同一に切ってみせる様もあり、驚いたことがあります。 共通点は、かすれた声(高音域での統一さ…
なぜ、皆さんが、他の国の声、未来の声に、もっと敏感にならないのかと思うことがあります。声は、国民の声など、意見の意味で使われることがあります。声は、メッセージ、働きかけなのです。 日本人の声がパワフルにならないのは、日本の国民性ゆえです。コ…
共鳴する箇所として教えられていることも、本当は、共鳴体感部がどこなのかというようにしか、発声では教えられないのです。とにかく、弱く響かすより強く響かす方が簡単です。第一に、体や呼吸が動員しやすいからです。全身でバントするより、全身でフルス…
共鳴しないのは、きちんと声にしていない、がなっている、声帯が合わさっていないのです。これはイメージ言語というものです。ポピュラーを扱っているて「ハスキー=だめ」はないのです。でも、できる限り、声に活かせぬ息の音はなくしたいものです。表現で…
高音域にもっていくときに声が裏返ってしまう、これを防ぐためのカバーリングが声楽からヴォイトレに入ってきました。高音で喉を壊す人は少なくなりましたが、それは、ストレートに大声にしなくなったからです。それが最大の貢献かもしれません。 ステージで…
研究所には、直径40センチくらいのシンギングボールがあります。お寺などで仏壇でカーンと鳴らす鐘のようなものです。これを響かせるには、もっとも響くところをもっとも強く打ち、鐘の共鳴を邪魔しないようにします。下に共鳴箱のような原理の台座を置き、…
鐘のどこを打つとどうなるかは、音響物理学に任せて、これを人間のどこに響かせるかということに置き換えます。私の基本的な考えは、響かせるのでなく、響かせてはダメで、響くのを待つということです。しかし、プロセスとしては、(つかむ)打つ、(はなす…
高い声が出ないから出したいので、高い声で練習します。すると、あるところで限界となります。これを自主レッスンで行うと、将来、もっとできたはずの可能性をなくします。雑になって疲れさせ、悪い状態にして、手前で障害をもたらしてしまうのです。そこで…
ファルセットを使うのが増えたのと、弱くても少しでも高い音しか求められなくなったこともあり、いつ知れず裏声でのアプローチが全盛となりました。リスクが少ないことが大きいでしょう。これは本質ではなく、使い方での応用、やり方でのノウハウに過ぎない…
歌を中心とした音楽的な方向は、声の共鳴が基本となります。共鳴には、いろんな要素が含まれています。 まずは、母音、これは口内、舌の位置で変化します。ここでの母音は日本語だけでなく、世界共通の母音、つまり、子音でないものです。 子音は、調音点で…