母音を、切り離すという練習法は、劇団四季の浅利さんが、今や劇団を超え、日本の子供たちにも教えている方法です。私は、舞台の表現、演出としては、主宰者の好みとなりますから、口をはさまないのですが、日本語の発声や歌としての方法については、別の見解をもっています。アナウンサーの基礎のようなこととして、子供の教育に母音の発音練習などが入ることはよいと思っています。顔の筋肉、表情筋さえ、あまり動かしていない人には、すべて形、型から入っても、とてもよいことだと思っています。
声や表現というのは、時間をかけていかないとわかりにくい、変わらない人がいます。しかし、口をはっきりと動かし、発音や滑舌を明瞭にするというのは、誰もがやった分できるようになることです。その効果も、すぐ確認できるからです。
視聴者がサウンドよりもヴィジュアル重視の日本人ですから尚更です。今や聴衆は少なく、日本人の客は観衆ばかりだと私は思っています。
私としては、歌や芝居に表情はつくので、トレーニングとしては、筋トレのように表情筋づくりのレベルで行うならともかく、発声や声質がチェックできないような曖昧なことになるのは避けるべきだと思います。