語感というのは、ことばを自分で発するときの感じと相手が受けるときの感じです。声を介し、私たちは自らの心身とも、他の人とも触れあっています。声は、自分の声帯の振動から相手の鼓膜の振動へ伝わります。空気中を伝わる音のバイブレーションなのです。
音声というのは、意味を生じる声の音、音としての声ということです。それには、ことばとしての意味も含まれますが、ここで語感というのは、その前に語として、声としてのレベルで、すでに意味を生じているということです。
- 声と息の感じ
- 語の感じ
- ことばの感じ
たとえば、1については、人間のことばの習得前の状況を想像してみるとよいでしょう。猿人類などの研究もあります。くじらの声、鳥の共鳴管での鳴き声もコミュニケーションのための音声です。ことばがなくても音でのコミュニケーションをするのは、様々な生物でみられます。匂いや色などと同じく、五感によって私たちは伝えあってきたのです(拙書「感性の研究」参照のこと)。