自著作からの引用
坂東玉三郎は、14歳で玉三郎を襲名しました。そこから10年間、変声期で、お客の前で声を出せるようになったのは、22、3歳からで、本当に声が出てきたのは30歳くらいから、と述懐しています。 ついでにですが、「方式にかなった声は決して芸術的とはいえない…
歌える人は、歌えない人のまねができます。せりふの言える人は、言えない人のまねができます。それは、まねするときに、部分的に力を抜いたり入れたりアンバランスにしてくせをつけているのです。 私は、「あなたの声なら首から上だけで出せます」と言うこと…
歌唱のためには、せりふのトレーニング、せりふのためには、歌唱トレーニングをしましょう。 「歌は語るように、せりふは歌うように」 と言われます。それらは底で結びついていて、相互に補充しあっているからです。 日本の歌手やヴォイストレーナーの弱点の…
リラックス、脱力は、くせをとったり、体の柔軟性を回復させるのに、大切なことです。 しかし、どんな分野でも、それだけで身につくものはありません。これらは、身についているものの発揮が妨げられないようにするためです。身についているものが不足してい…
機能として、目覚めさせる。 心身を解放し、バランスをとり、合理的に使う。 足らないところを補強、鍛錬する。 体で身につける見本として、表現者やトレーナーを参考にする。 見本といっても、それぞれにタイプも得意不得意(専門)も違うので、それを自分…
ミックスヴォイスの流行は、一時の現象と思っていたのですが、いろんな論文などでも取り扱われています。学会などで数人の異なる発声を全てミックスヴォイスと、同一に切ってみせる様もあり、驚いたことがあります。 共通点は、かすれた声(高音域での統一さ…
セカンドオピニオンとしてアドバイスするときに、他のトレーナーの指導のプロセスで、偏っているのを知りつつ、口に出せないことは、よくあります。 たとえば、その人の音がフラットしていたら、高めに直すため一時的に高くとるトレーニングをすることになる…
一般的な注意と必ずしもそうでないことの例をいくつかあげておきます。 ハミング→口開けてもよい 「喉頭を下げる」→必ずしも無理に下げなくてもよい 「軟口蓋を上げる」→上げ過ぎてもよくない、鼻音にしない 「喉をあける」→必ずしも無理にあけようとしなく…
指導で使われる用語は、イメージ言語として説明しています。トレーニングの効果を出すために使うのですから、トレーニングを行う上でのインデックスとして、トレーナーとクライアントの認識が一致していたら、どんなことば、用語もパーソナルなレッスンでは…
例としては、長くなりますが、せっかくの機会なので呼吸(法)について詳述します。 呼吸とお腹の動きの関係は、よく問われますが、厳密には説明しにくいものです。 腹式呼吸は、お腹がへこんで息=声が出るというように考えられています。しかし、声楽や邦楽…
似た問題をいくつか、加えておきます。 邦楽では、地声と言っていながら、高い声は、裏声を使っています。同様に、鼻呼吸だと言いつつ、口呼吸も使っています。「地声で歌ってはいけない」と言う師匠もいます。 所詮、マニュアルと実践は違うのです。定義も…
ヴォイトレでなくとも、決まった時間、しっかりと声を出すことを3~5年もやれば、個人差はありますが、声は変わっていきます。よい方に変わったら、そこで行ったことが、まさにヴォイトレなのです。 ところが、巷でヴォイトレを行っている人は多いのに、こう…
医者(音声クリニックなど)から、紹介されてくる人に多いパターンで、器質的な障害がなく、機能性発声障害といわれるケースなどに多いのですが、いわゆる「発声法が悪い」「腹式呼吸ができていない」などと言われて、いらっしゃいます。 ただ、「あまり声を…
本当に声を変えたければ、毎日の生活習慣から変える、環境づくりが必要です。 フィジカルの管理ができていない人は、整体やマッサージ、ヨーガなど、何でもよいでしょう。運動と柔軟からです。それだけでも声が出やすくなります。 ヴォイトレのメニュにも、…
最近、私がよく話すことを加えて、アドバイスにします。 ヴォイトレというのは、「トレーニングですから、役立つように、自分を変えるために使えばよい」ものです。 つまり、役立たなければ、よい方に変わらないなら使わなくてよい、使わない方がよいのです…
歌も声の使い方の一つですから、使うレベルが下がれば、業界が衰退していくのはあたりまえです。これまでも、そうして多くの芸は消え、また新しい芸が生まれていったのです。役者も声優も、同じで、声の力は、明らかに不足してきています。他に補える要素が…
確かに、素人には発声はわからないし、歌の評価も好き嫌いによる、といえるかもしれません。しかし、声は日常で使われ、誰であれ、それなりの効果を知りうる社会性をもちあわせています。 そうである以上、声のよしあしとか歌やせりふのよしあしは、日常で「…