基礎トレーニングについては、声楽をベースとした体、呼吸、共鳴、発声でよいときは、トレーナーに任せています。表現についての問題は、複雑です。今の日本では、さまざまな事情を加えると、なかなか判断ができないのです。
私は「声からの絶対基準」と「表現からの絶対基準」をベースにしています。ここで「絶対」というのは、時代や国を問わないということです。本人の資質をベースに最大の可能性=オリジナリティで問うということです。
しかし現実には、仕事になるための「今、ここで」=「21世紀の日本」「客やファンの求めるもの」でという相対基準、外から求められるスタイルや能力に合わせるという基準を配慮せざるをえないのです。そこを超えたところでは、思想、価値観となります。
総合力としてのオリジナルが評価される今、声での創造力においてのオリジナルでやっている歌手は、ほとんどいません。トレーニングで教えられるもの、育つものではないからです。となると、精神的サポートが中心とならざるをえなくなります。