私は、十名ほどのトレーナー全員とレッスン生のステージでの歌を評価し続けてきました。そこで、ポピュラー出身の生え抜きのトレーナーと、声楽家出身のヴォイストレーナーとの評価の違いに悩まされました。
声楽家は、アマチュアに対して、曲、つまり楽譜に正確かが第一条件、次に発声のよさをみます。ちなみに黒人のトレーナーたちは、素の発声のよさとバランスを重視していました。それに対し私たちは、声の働きかける力、表現力と音楽性をみます。
役者は、ことばの表現力があります。音楽性がある人ほど、声のパワー、インパクトがないのは、日本の特徴です。
これは、一人のアーティストをどのように評価するかということの難しさにそのまま通じます。即戦力としてみるか、可能性をみるかによっても大きく違います。そこで、私のところではいくつかの視点から分けてみていました。
1.発声のベース力 声楽家か、音大8年生レベル(大学院、二期会レベルの歌唱ではなく、発声や発声教材をこなせる能力としてみる)
2.歌唱力(歌手意、音楽の専門演出家として)
3.表現力(エンターテイナー、パフォーマー、声、歌を使った伝わる力として)
原点に戻ると、声のきれいな人、声のよい人、声の強い人(タフな人)への見方は、同じではありません。歌手もそれぞれに、核(強味)としているところが違います。ステージでは、いくつもの能力を兼ね合わせて作品の表現にするために複雑になります(選曲やアレンジにも大いに関係します)。
1.きれいな声で歌っている人
2.よい声で歌っている人
3.強い表現力を伴う声(歌唱力)で歌っている人
4.パフォーマンスなど、ヴィジュアルを重視したステージングで歌っている人
このように区別してみます。皆さんは、それぞれ誰が思い浮かぶでしょうか。