すでにある作品を輸入して、それをまねて作品をつくると、歌手にはハイレベルなものとなるわけです。こなそうとするのが輸入期です。その啓発期ではまねるしかやりようがないからです。
日本人がすぐれた歌手を世界に送り出せたのは、一曲です。そこに邦楽の伝統があったというのが、坂本九さんという、キャラクターのオリジナリティあふれるヴォーカリストの実績です。彼の母親は常磐津の師匠でした。
歌謡曲は三波春夫、村田英雄ほか、邦楽との和魂洋才です。詩吟や長唄なども、オペラも、団塊の世代以降ではどうなるのでしょうか。
私はこれらを同列に扱ってきました。「マイクを使わないという条件での声づくり、体づくり」に共通するので、声の基準としてわかりやすいからです。