歌の1コーラスは、大きな声で4つから8つくらいの文章を読みあげるくらいにしてください。フレーズとして、息はともかく、流れは、つながっているのです。外国人がそのくらいで捉えているものを、日本人は、16から32くらいで細かく捉えます。歌の形を声でコピーしてしまうからです。表現としては総じて固くなり、緊張を欠きます。ことば単位で切って、つなげようとすると低い次元になります。
プロは表面の加工技術に長けているので、一般の人にははっきりとわかりません。でも、感じられるものです。問題は、本人がそのフォローを技術と思い、固めてしまうこと、そこでアピールできるものとしてテクニカルに使ってしまうことです。
発声や歌唱は、迷いや不安が入るだけで安定性を欠いてしまいます。しなやかさ、柔らかさ、伸びやかさは、音楽としての心地よさのために、もっとも大切にすることです。しかし、なかなかみえません。それは、せりふにも通じます。自信をもって使いきると、それなりに説得力をもって伝わってしまうのが、せりふや歌の困ったところです。