曲から離れて全体をつかんでみましょう。楽譜を歌うのでなく、歌全体の意図を歌うのです。
声を一つずつ伸ばしてつなげるのは、日本の合唱などにはよくみられます。うまくいくと心地よさが眠気を促すようになってきます。一つずつ均等に伸ばすような日本語の母音に忠実であるほど、表現としては、間伸びしたふしぜんなものになりがちです。インパクトが切り捨てられているのです。
均等というのは、楽譜やプレイヤーの演奏上、そういうルールのときもありますが、スタッカート、テヌートでもない限り、動かさないと表現としての緊張を欠きます。
次の対立項は、日本人の歌唱、特に日本語の歌ではよくみられます。声とフレージングが、これらの2つの溝を埋めるだけでなく、超えていたら、表現としてはかなり強いインパクトを持ちえるのです。
メロディ ことば、リズム
伸びやかさ(声量) きめこまやかさ
レガート(スタッカート) ことば
ロングトーン ことば
声とフレージングが、これらの2つの溝を埋めるだけでなく超えられたら、表現としては、かなり強いインパクトを持ちえるのです(目指している目的自体がずれている人の多いのが、日本の歌唱の問題です。拙書「自分の歌を歌おう」で詳しく触れました)。