ヴォイストレーナーの選び方[アーカイブ版]

声、発声、聞くこと、ヴォイストレーニングに関心のある人に  バックナンバーは「夢実現・目的達成のための考え方と心身のトレーニング」をご覧ください http://bvt.txt-nifty.com/trainersen/

救済と創造

 声から考えるのと、(体から)表現から考えるのは、大きな隔たりがあります。現代の人は少しでも早くばかりを結局求めがちです。早く楽にうまくなりたい―というのは、学校教育=平均化=落ちこぼれ救済教育であります。(他国に模範をとれる工業化社会時代のもの)

 基礎はそれでいいと考える人は日本に多いのですが、私は、基礎こそ、創造的でなくてはならないと考えています。思えば、日本の産業は欧米の表面的なものまねでスタートしました。基本特許料を払っていました。今は、アジアが日本をまね、日本の基礎の部品を使っていないとつくれないのです。ところが、アートの分野は逆行しているような感が強いのです。

 日本の誇るべき伝統の芸は、今や風前の灯です。戦後、特に団塊の世代アメリカ化によって、ロックやエレキギターに置き換えられていったのです。それでも楽器やダンスの技術はスポーツと同じく国際レベルに達しています。

 復興してピークにある落語、弱体化したもののすそ野の広いお笑い芸(人)、そして、かぶき者の歌舞伎の音声は、ときに胸を打たれます。世界で引けをとるものではありません。

 トレーナーとしては、落ちこぼれ救済での実績を元にして一流の才をつぶすようなことを気をつけなくてはいけません。才能のある多くの人の将来は、そう簡単に見抜けないものです。

 私は、ひと声については、それぞれにすごい研究所のトレーナー(オペラ歌手ですから)ですが、その点の自覚と自戒を促しています。ここに来ないと救われなかった人の声を助けること、それと、どこでもやれる力があるからこそ、ここで他のどこよりも進歩させられたという人を輩出すること、これが今からの研究所のあり方となっています。