私は、若いころ、わからないものを知りたかった、見たかった、味わいたかった。そして、わかっている人、あるいはわかったようにみえる人にコンプレックス=ギャップを強く感じた。そこから抜け出せたら、その溝が埋まれば、もう一つ上の世界がみえてくるという予感があった。
貧しく悪環境におかれていると、こういうことが起きやすいし、豊かで恵まれていると起きにくいのかもしれません。
「変わりたい」という欲求は、自分の外であれ内であれ、逆境を強く意識しなくてはいけないのかもしれません。今は「変わりたい自分」より「変わりたくない自分」が強くなったのでしょう。でも本当にそうでしょうか。
今、日本人の甘受している豊かさは自分のものでなく先人の作りあげたものです。それに気付かないのは平和ボケです。何一つ自分でつくっていないのです。
昔から子供みたいな人はたくさんいましたが、そのことを家や学校や社会で気づかされたのです。そういうメカニズムが、今は働いていないのでしょうか。
先生が教育の先には何もないようなことさえ言うのです。まわりがどうであれ、問題は、いつも自分自身なのです。