トレーニングが真にトレーニングといえるものなら、それによって明らかに、体や感覚が変わり、結果、ヴォイトレなら声が変わるものです。
日常のなかで、よく眠ったり心身が活性化されたりしたら出るくらいの声を目的にとると、声の出方で自分の体調などわかってくるでしょう。つまり体調が悪いと、声もひどくなるわけです。それが少し悪くても感じられるようになっていくわけです。そうして声に対する感度が上がるのはよいことです。しかし、それはトレーニングの前提であってトレーニングとは違うと思いませんか。
たとえば、入院して療養する患者さんへのヴォイトレ効果―ヴォイトレしなくとも、気力、体力が回復してくると人並みの声が出るから、そこまではトレーニングの効果ではないのです。
声が機能的に出ないところでのアプローチやメンタルケアが、ヴォイトレのメインになっていることが多くなりました。病後の声に悩みのある人のリハビリと同じです。そこはST(スピーチセラピスト)の仕事です。歩く―走る、という日常のことを、話す―歌う、に例えてみました。