声の器を大きくするというのは、上の線(頭声や裏声)を伸ばしたり下の線(胸声)を伸ばしたりするのではありません。上の線と下の線の間に幅をもたせ、その中でいろんな線の引ける可能性を高めていくことです。
一つの声でも、「縦の線に」と言っています。上にもっていく(奥をあける、頭部共鳴させる)のは、たての線の上半分のこと、いや、先端にすぎません。☆
そこばかりひっぱる人が多いのですが、その分、下に根っこを引っ張ることが必要です。これは誤解されやすく、「重く、暗く、太く」を、「ぶつける、こもる、押しつける、掘る」となると、好ましくありません。このあたりをわからせるには、説明では大変です。実感できる日を待つしかありません。
胸声を、喉声として否定する人は、欧米人のロックや役者の声、ワールドミュージックを聞いたことがないのでしょうか。
自分でできないから、他人にできないと思ってはいけないのです。自分にできなくとも、その人にできるものを引き出して伸ばしましょう。他人をどう活かすかも、オリジナリティでしょう。