解剖学や生理学の勉強をしても“身”につくものはありません。第一線のオペラ歌手やポップス歌手にそんな人はあまりいません。トレーナーとして人に教える時に、学ぶのはよいことでしょう。餅は餅屋に任せましょう。
歌うときは、頭を空にしないと、オーラ、集中力、気力に満ちたピークパフォーマンスは実現できません。最高の声を取り出したり、保ったりすることに集中しましょう。
歌唱表現に問われるもの
1.声の共鳴―発声―呼吸一体
2.声の使い方、フレージング
3.歌の見せ方、組み立て、アレンジ、構成、展開
a.ヴォーチェ・ディ・ペット
b.ヴォーチェ・ディ・テスタ
ここに声の理想的なあり方とか訓練は入っていません。いろんな発声法、テクニックやメニュ、方法を使うのは、表現という目的の元に、具体化された問題とのギャップを埋めるためのきっかけです。その日の声のチェックとか柔軟を響きで確認するのは、トレーニングとは違います。
リップロールとかハミングも、そういう意味で役立てるものです。しかし使われていてもが有効でないことが多いです。人によっては、目的からみて使わないほうがよいこともあります。
発声のなかで、ビブラートやミックスヴォイスなどということばを使うとレッスンらしくなるのですが、ことばで物事を分けていく(頭でっかちということ)と大きな問題が見えなくなってしまうのです。欠点の修正や、やむをえないケース以外は、イメージ、統一性のある連続感覚の中で、一つに捉えていく方がよいと思います。