私は自分のことばや方法をレッスン生に押しつけません。新たなメニュとまでいかなくとも、できるだけ新たにその場で作り出します。メニュやプログラムは、個別対応です。
過去のメニュや、他の人のメニュとも共通するものもあります。変わらないものもあります。でも、いつも説明の仕方や使い方は変えています。毎月会報を出しているのは、その証です。
たとえばの話ですが、レッスンで「その声は少し右だから左に」というような注意をします。ここの右や左には、様々なことばが入ります。こもっている、浮いている、ひびきが拡散している、絞られている、のどが開いている、しまっている・・・など。
これらは、イメージ言語ですから、これを取り上げて正誤を論じてもしかたありません。
よくトレーナーの指導することばや用語の間違いを指摘する人がいます。私もおかしな使われ方をたくさんみてきました。しかし、結果として効果が出ていたら、何もいいません。執筆のときは少し気をつけています。
Ex.「肺活量を増やして」(といっても、本当は増えません。でも、そういうイメージということなら、かまいません)
間違って使われているほうが多いことばもあります。
Ex.「音程が下がっている」「音程が低い」、これは2音の間隔が狭い、高いほうの音が下がっている、ことなら正しいのですが、音程=音高(ピッチ)と間違えて使っていても、相互に了承していたらよいでしょう。
「胸声は胸に共鳴させて」「胸で深い音色をつくって」と。たくさんあります。
トレーナーとレッスン生の間でのイメージの共有ができているかが問われます。発声をよくするためにことばがイメージを喚起するキーワードとして働いていればよいのです。