トレーニングのプロセスに他人が入ると、ややこしくなります。私はトレーナーの間に入るときは、結果を中心にみて、使っていることばは気にしません。
ことばを変えることでよい効果がもたらされるところはアドバイスします。そういうことばほど、事実と異なることが多いのです。セカンドオピニオン、プロデューサーなども同じようなことをしています。
「のどを使うな」というのは、発声としてはおかしいことですが、ほとんどのトレーナーが使っています。
スポーツで、投げるのに「腕の力を抜け」というのも、事実と違うことばです。こういったイメージのことば、つまり感覚のことばが、トレーニングでは中心となるのです。
第三者が入ってやっかいなのは、他のトレーナーが、右によっているとみて、左へ導いているようなレッスンや、そこの声だけをみて、左へよっているから右に戻さないといけないと判断してしまうケースです。逆のこと、反対の間違ったことをしているとみえてしまうのです。この点で、私は他のトレーナーに自分のレッスンをみせたくないトレーナーがいることは一理あると理解できます。
他のトレーナーが腹式呼吸を教えたあとの、レッスン生の発声をみると、「お腹ばかり意識せず、共鳴や流れを意識しなさい」といいたくなることになります。「ヴォイトレに行くと悪くなった」などというプロデューサーやプレイヤーなどがいたら、こういう誤解をしているのです。