いろんなところを回ってここにいらっしゃるアマチュアの人たちの例は述べたと思います。日本のプロの場合、必ずしも声としての実力レベルがアマチュアの上位にあるわけではないので、トレーナーについて同様、述べると長くなります。ともに、ヴォイトレとか声とか、声の基本とか言いつつ、あまりにもそれ以外のことが中心になっているからです。
私が述べてきたことは、ゼロからプラス、プラスからマックスです。100メートルレースで世界に勝つのかと、日常で不自由なく安全に歩くのとは違います。みる世界もやり方も考え方も違うのに、声ということで一緒くたにされています。
一流になる、本物になるには、力をつけるしかないのです。声の力をつけるのがヴォイトレという基本を忘れては、ヴォイトレはトレーニングでなくなります。もはやカウンセリングになりかねないのです。
例えば、呼吸のレッスンで、トレーニングをする。でも、自分で毎日、それを続けて、ハードにレベルを厳しくして体が変わっていかない限り、それは3年経っても5年経ってもプラスにならず、意味はないのです。週1回でも老化防止や健康のためにはなるというのでは、ゼロ状態のキープ、老化防止です。
日常が10レベルの呼吸の人がレッスンで呼吸を週1日やってトレーニングを6日やらなければ、10~15レベルでしょう。それなら、毎日フィットネスで汗を流す方が、日常が20レベルになるので伸びます。病弱になって日常が5レベルになったらレッスンにきても6~10レベルをキープするのが精一杯でしょう。
いくら医者に喉の状態がよくないと通って、トレーナーに調整してもらっても10+-5くらいから抜け出せないのです。
医者やトレーナーをいくら変えても10レベルの世界でみているのですから永遠に100レベル、1000レベルにはなりません。フィットネスでは100レベルになるかもしれませんが、発声に必要な呼吸トレーニングは、そのままベースとしての100レベルが発声、歌唱には結びついて×10にはならないということです。だからこそ、体―呼吸―声を結びつけるヴォイトレの必要性があるのです。