声の強さ、耐久性も必要です。鍛えなくてはいけないのは喉だけでなく心身です。ヴォイトレの前に整体やフィジカルトレーニングする必要のある人はたくさんいます。今、ヴォイトレをしている人の半分は、マッサージ師やフィジカルトレーナーについた方が早く確実に声がよくなるでしょう。そういう分野のすぐれた人の方が、声をよくするということです。
つまり、1000の器のフィジカルトレーナーは、1パーセントしか声がわかっていなくても(声はかなり難しいので、喉頭のなかに入っている、整体の外になるので、よくて1パーセントとして)、10の力以下のヴォイストレーナーに勝るということです。しかも、頭―足先の全身とその働きを熟知していますから、柔軟や呼吸に関するケアなどは、より細密です。この細やかさが必要なのです。
一流のアーティストのなかに、ヴォイストレーナーでなくフィジカルトレーナーを連れてツアーに行く人がいます。それは、アスリートと同じく、体のケアのためです。ここからも声と歌にとっても体の重要性がわかります。
ヴォイストレーナーが行くこともあります。曲を覚え切れていないし、発声もまともにできないレベルのヴォーカルの場合、伴奏や歌唱(代歌)での必要があるからです。でも、その仕事は、声でなく歌曲のトレーナーです。元は、歌の先生はピアノでの作曲家であったのですが、それを同じ役割です。