「ヴォイストレーナーについたのに、大きな声が出ない」「お腹から声が出ない」「腹式呼吸が身につかない」と、そういうことで、人づてに紹介されてくる人も増えてきました。そのトレーナー自身が腹から声が出ていない、のど声である、呼吸も浅いのに、なぜ、レッスンを受けて変わるのでしょうか(もちろん、変わるケースもあります。トレーナーを庇うわけではありませんが、トレーナー=レッスンの目的を遂げた人としてみるのは危険でもあります。トレーナーがそうでなくても相手がそうなればよいのですから)。
問題は、こういうトレーナーは、短期で少しの目に見える効果をあげてきた、つまり、レッスンする前と後で、心身の状態をよくして、1~2割伸ばすことを指導しているトレーナーです。最大で3カ月~1年、それで生徒もやめるか、曲を覚えたり、リハーサルがわりに、ヴォイトレとは違う目的で続けていくのです。あるいはそれがレッスンの目的で、本当のヴォイトレではないケースも多いのです。そういうレッスン形態なのです。
音程、ピッチトレーナーやリズムトレーナー、アレンジャー、プロデューサー、作曲家出身の人は、呼吸、発声、共鳴の本質的なことは伝えないことが多いのです(ここで言うヴォイトレの定義は、私が述べているだけで、公にはありませんから、批判にもなりません。誰がヴォイトレと使ってもよいのです。声を目的としていないのに声が変わるわけはありません)。