夢実現・目標達成のための考え方と心身声のトレーニング(旧:ヴォイストレーナーの選び方)

声、発声、聞くこと、ヴォイストレーニングに関心のある人に( 1本版は、https://infobvt.wordpress.com/ をご利用ください。)

本当に満足?

マニュアルメニュのトレーニングは、早く1、2割よくなって、それから先は限界になります。

 多くは、経験が乏しく平均以下の人が、トレーナーについて声を出しながら曲に慣れていったため、人並みになれたということです。ですから初心者で入り、そこで終わる人には評判がいい。その程度のものを効果と思える、ノーリスクです。本当の意味でのオリジナルなものとして世の中に通用しません。

 それで満足する人が多いのにも驚きます。いつか、自分の才能のなさや練習の足りなさのせいにして、少々伸びたことで満足してしぜんに諦めるといプロセスです。本当の意味でのオリジナルなものとして世の中に通用しません。

 私はそういう人に「ヴォイトレで声が変わりましたか」と尋ねます。体から表現しているアーティストをみて、それを望んでいたのに、体や息や声を大して使わないで、そのあて方を変えただけです。それで大きく変わったと考えているのなら、鈍くなったといえます。可能性のある方法を選べていないのです。

 

逆こそ真実

プロセスを進めていくマニュアルというのは、正しさを求めて自ずと間違えてしまうことになるのです。いろんなヴォイトレ本が出ています。しかし、レッスンのマニュアルは、マニュアルゆえに大して効果が出ないのす。

 つまり、

1.誰でも

2.すぐに(早く)

3.楽に

4.間違えることなく

5.効果が上がる

というものは、本人満足ゆえに、聞き手は肯定できないということです。さすがに全否定はしませんが。聞き手のやさしさに甘えられるからです。

表面より内面から

幼児向けというのなら、時間をかけて成長とともに変じていくというのでいいのでしょう。感覚が入っていき変わるからです。しかし、大人であれば、少々意図的に感覚を変えようとしないと、まず変わりません。気づいたら合っていたというようにしないと高いレベルで使えません。

リズムやピッチを「正しい=遅れない」というレベルでは、間違っていないだけで、合ってはいないのです。合っていても、それは、聞く人にとって決して心地よい音感、リズム感にならないからです。

 とはいえ、そこからトレーニングを始めなくてはいけない人もたくさんいます。それはそれでよいのです。ただ、そこで目的かゴールと思わずに、あてるよりもあたること、聞くことを重視してください。

「結果オーライ」という理論

いつも「結果オーライ」の基準を私は提唱してきました。よい方法かどうかなどを問うよりも、その人がよく表現できていたら、よく生きていて、よいものを得ているということです。

 拙書のヴォーカル教本のほとんどは、「響きにあてるな」「共鳴させようとするな」「当たってくるまで保て」「共鳴したらよいがさせてはいけない」など、従来の方法やプロセスを否定するようなことばを使っています。

 そうしたい人に「そうするな、そうなるまで待て」と言うのはおかしなことです。しかし、そうしたいことが本当の目的でなく、プロセスにあるのですから、そうしようとするのはよくないのです。

もう一例、ピッチを正しくとかリズムを正しくというのも同じです。正しくないから合わせようというのは、初歩のトレーニングというよりは、低次元を目的(付け焼刃)としたトレーニングです。

表現の目標

表現(表現のレベルは3とする)をどうみるかは、声も歌も曖昧な世界のポピュラー歌手や俳優においては、最高クラスの世界のトップからみるしかないので、トップダウンの考えです。ここでも、3a=世界、3b=日本と考えて、3aを目指すべきです。なのに3aでなく3bしか使いません。それどころか、3aをみない、知らないとなりつつあります(a=内なる表現、b=仕事の表現)。

 3aからみるからこそ、3a―2a―1aと一貫した基準と真にオリジナルな作品、歌、声が明確に見ることができるのです。私が日本の音声の表現舞台、しいては、日本の歌の判断を好まないのは、3c、3b、3aとバラバラななかでの器用さに長けていることで選ぶよう強いられるからです。

 音楽のルールを守って、きれいな声で、うまく歌っている。そのことに文句はありませんが、本人不在なのです。整形美人のようなもので、どれも同じように心地よいだけで、飽きてしまうのです。

 気をつけたいのは、aをみないbの勉強がレッスンとして行われることがほとんどであるという現実です。

内なるものと外からのもの

声にも  

a.内なる自分からの声

b.仕事などで求められる声

があります。aからbを包括するa⊃bが望ましいのですが、aがみえぬままbでつくってしまうことが一般的です。日常での声力がもっとあれば、もっている声が使われるのですが、日常の声力がないのでトレーニングで補うことです。そうでないと、無理につくらなくてはなりません。大半は、そうしてつくった声を使ってしまっています。

本当は、aがbに並んで、何とかプロレベル、それを超えるには、a⊃bまで基礎としての声力を高めなくてはならないのです。これは歌についても同じことがいえます。ここの「声」を「歌」に置き換えても通じるのです。

 カラオケやもの真似のうまい人は2a⊃2bです(2aは内なる歌のフレーズ、2bは外から求められる歌のフレーズ、2は歌のレベル、1は声のレベルということです)。もちろん、下手な人よりは2aの力もあります。

 しかし、bを目的にしてはよくないのです。aをトレーニングしてbが包括されるようにしていくことです。

この関係は本来、1a⊃2a(声⊃歌)でもあるべきです。日本人の場合、歌の求める声域、声量、リズム、音程すべてがbとして、aより大きくなっています。それでは歌って精一杯、真の表現には至りません。

声におけるオリジナリティ

オリジナリティというのは、声においては、ど真ん中の声です(人によって音色も声量も異なります。今もっともよいのと、将来もっともよくなるのも異なります)。歌を「歌のオリジナリティ」と区分けします。それは、歌全体でなく声のフレージング、音声の描く色や線のことです。声が音色、歌がフレーズということでもよいでしょう。それは、絵でいう基礎デッサン(色と線)にあたります。

 歌手の場合の表現は、音の世界にみるなら、ステージ>音楽>音声(声、歌)と絞り込んで、そのデッサンの組み合わせとしての絵としてみるのです。歌のオリジナリティは、声のフレーズの組み合わせなのです。私は、声=色、歌=線、表現(歌)その組み合わせとしてみることが多いです。

オリジナリティをみる

本人のオリジナリティをみると

1.声のオリジナリティ

2.歌のオリジナリティ

3.表現のオリジナリティ

はそれぞれが違います。

 どれかが抜きんでているか、総合的に力があればよいのです。もしかすると、その配分こそが、オリジナリティといえるようにも思います。配分よりは、組み合わせという方が近いかもしれません。

オリジナリティをみる

本人のオリジナリティをみると

1.声のオリジナリティ

2.歌のオリジナリティ

3.表現のオリジナリティ

はそれぞれが違います。

 どれかが抜きんでているか、総合的に力があればよいのです。もしかすると、その配分こそが、オリジナリティといえるようにも思います。配分よりは、組み合わせという方が近いかもしれません。

やり方と学び方

やり方というのは、学習法、勉強法です(日本の場合はこれが目的になりがちなので、ここで「仮に」ということを強調しておきます)。天才なら、他人を参考にせずに独力ですぐれていくのかもしれません。直しようもない、トレーナーもあきらめるしかない強烈な個性が、歌や音楽へ開かれていたら才能としてみるのです。

 ただし、音楽というのは再現芸術です。そこにおいては、発想やひらめきだけでもっていけないと思います。少なくとも、一流は、その前の一流に学んできたのです。その学び方を学ぶのが、レッスンの役割です。

3つの次元を分ける

判断について、本人を中心に考えると

1.本人の声

2.本人の歌

3.本人の表現

と、それぞれにオリジナルのものを判断していくのがよいと思います。何よりも、本人を中心としたヴォイトレであろうと思うからです。しかし、こうしたオリジナリティというのは、他にないものゆえ、認められがたいので、ある程度スタンダードな基準をおくのが、一般的な学び方です。研究所でも、そういう基準を設けて一本通るようにしています。

 つまり、個性・才能なのか、一人よがりのでたらめなのかを区別するのです。他のものへの応用性、柔軟性でみます。他との比較から、相対的に力をつけるというやり方をとるのです。

評価とレッスン、トレーニング

「こういうトレーニングをすれば、こうなる」という、基礎づくりについてはアドバイスできます。レッスンを受けないとないとアドバイスしないわけではありません。しかし、その人にみえていないものは、レッスンでみえるようにしていくように、トレーニングで補なってこそ、本当の効果が出るのです。一言アドバイスは、それを必要としないほど勘と感覚のよい人を除いて、大半の人には、自信をつけた分変わるくらいの励ましになるわけです。

 声も歌も、その人が生きてきた歳月や環境に基づいています。本当のことをいうと、大きく変えるのは至難の業です。まして独力では不可能に近いかもしれません。小さく変えても大きくは変わらないのです。