型にあてはめられて、そこで個性が死んでしまうというなら、その程度のものに過ぎないので、そういった型がいけないとは思いません。ただ、型がなくとも形にはまってしまいやすい人がいます。形にはまるのが勉強と思い、はまりたがって努力する人です。他の人の言う通りに動く人、つまり、器用な人、上手く立ち回る人、正確な人、いつもそれなりの力をキープできる人、絶対に休んだり、遅刻しない人、こういう人を私は、優等生と呼びます。そういう人は大切ですが、そこでばかり選ぶことがよくないと思うのです。
現実がそうであれば、それに対応するためにトレーナーも、相手をその方向にもっていくわけです。そもそも、トレーナーも優等生が多いのですから、頑張るほどに、そういうふうに育つのです。
「個人の色よりも、組織集団の色が強く出る」のは、日本の会社も劇団もプロダクションも同じです。よし悪しともにあることでしょう。
しかし、喉や声は個人のものです。他に合わせようとすると、中級レベル(アドバンス=A)に早く到達するものの、上級レベル(ハイレベル=C)はいかなくなりかねないのです。トレーナーは、そこには細心の注意をもってあたることです。