呼吸が深まっていくと、すべて解決する。とまでは言いませんが、呼吸を深めることは、何事にも切り離せないところです。特に、声は呼吸で出しているのです。
声楽家は共鳴のプロと思いますが、一流の声楽家は、紛れもなく呼吸のプロです。呼吸によって発声も共鳴も習得の土壌ができてくるといえます。
ここには、バレリーナやダンサーやパントマイムの人が、ときおりみえます。発声でなく呼吸の勉強にいらっしゃいます。呼吸には精神力もリラックスも、あらゆる問題の解決のヒントが隠されています。酸素が血の流れで全身にいきわたるのを待つように、です。
呼吸法や呼吸のトレーニングが、あまり役立たないように思われるのは、すぐに成果に結びつかないこと、それどころか、一時、バランスを崩すことがよくあるからです。
いい加減な歌やせりふ、発声はできないようになるのです。だから、今のままがよいとか、少しよくなればよいくらいに思うのはよくありません。それならラジオ体操の呼吸くらいでやめても充分でしょう。根本的に変える必要性がないなら、呼吸法をやっても何にもなりません。そういう人が少なくないのです。