「スピリッツ」連載中のグラゼニの凡田夏之介が、後輩のピッチャーに、ストライクゾーンの枠外の9点に全力投球ができるかと試すところがあります(2014.11)。相手が打ってしまうかもしれないストライクゾーンに入れるのでなく、そういうギリギリのボール球をコントロールできないと、プロとして通用しない。ストライクのコーナーを全力で入れる練習をするのは誰でもやりますが、ボールになるよう全力で投げる練習を必ず毎日するピッチャーは、そう多くないでしょう。発想の転換、それによる独自の練習法とメニュです。
まさにヴォイトレで考える意味もそこにあるのではないでしょうか。
各要素ごとの声をチェックし把握し、次に組み合わせて自在にする。
歌とステージは観客に届かせるところへ、プロほど神経がいきます。ポップスではマイクがある分、いろんな加工ができます。MCやパフォーマンスの効果も絶大です。
声の表情にもこだわれますが、ややもするとつくりすぎて、客に媚びすぎて、あるいはリスクを回避しすぎて、よい発声を失っても気づかずにいることが少なくありません。自分の中のよい発声と、伝わる発声との関係を考えたことはありますか。☆☆
クラシックも、一流になるほど、理想的な発声フォームの上に共鳴を備え、作品と一致していきます。その上で伝わる声を応用します。多くの声楽家は、このレベルまでいかず、歌の声域や動きによってフォームで慣らしていきます。そこはポップスも歌唱でなく発声のレベルで大いに学べるものと思います。