この記事で語られたのは、松井との「1000日計画」でした。そして、それは、素振りなのです。徹底したシンプルさを最大限に応用して基礎を固め、その基礎を応用して試合につなげていくのです。何一つ特殊ではないのです。誰もが基本と知っている素振りをどれだけ、どのくらいの量、そして、どくらいの密度でできるのかが問われているのでしょう。
バッティングや素振りの例を、私はヴォイトレでよく使ってきました。「日本人は自分のど真ん中をジャストミートできないのに、自分のストライクゾーンの上の高いボール球ばかり打ちたがる」と。
長嶋さんは、ボール球やワンバウンドさえ打ってしまう天才でした。「バッターはノーマルであれ」と言っていたのは、意外でもあり、さすがでした。
ヴォイトレで、出しやすい声から出していくのです。なかには、自分が出しやすいと思って出す声を否定されることもあります。出しやすい声=ベストの発声やベストに育つ発声ではない。でも、入口では、まずは「出しやすい声とは何か」を、そして、「出しやすいとはどういうことか」をバットや竹刀を振るときのように、直観的に捉えてみることです。
一流の選手でない大半の人の感覚やフォームは、大きくは当たっていても、そこから細部に深めていくと、すぐに外れていきます。ストライクゾーンは打てるとわかっていても、いつもそこで当たったり当たらなかったりが続くのです。そのうちに高めの内角だけが打てるようになるのを上達などと言われてがんばったりするわけです。