すぐれたコーチというのは、コーチ自身のできないことまで教えてくれます。難易度が高くなっていくようなスポーツ、例えば、スケートや体操で、コーチがトップアスリートよりもできることはありません。もしそうなら、コーチが出場したら金メダルでしょう。求められる難易度が高まっていく一方で、歳を取っていくからできなくなる、というように思われますが、そういうことではありません。
すぐれたコーチは、自分のできないことをできる人を育てているからすぐれているのです。そのイメージ力と実現の手段と選手を選ぶ眼をもっている、タイプによっての才能の伸ばし方を知っているから、名コーチなのです。そのコーチがいなければ、そういう選手は生まれなかったというのがコーチの真の実力、コーチ冥利です。
歌手が教えて歌手が育たないわけではありませんが、日本では、声楽家、邦楽家以外は、プロデューサーが選び抜いて、何とか実績をつくってきたというところです。
ですから、私としては、トレーナーは叩き台、トレーナーの声の実力を超える人を出すことからだと思うのです。