夢実現・目標達成のための考え方と心身声のトレーニング(旧:ヴォイストレーナーの選び方)

声、発声、聞くこと、ヴォイストレーニングに関心のある人に( 1本版は、https://infobvt.wordpress.com/ をご利用ください。)

問題にしない

仮に「ヴォイトレの正しい方法」とかいうのがあって、それをマスターしたとしても、「プロになる」というのとは違います。

 私がいえるのは、万人に共通の正しい方法はないし、万人に対して最も優れているといえるたった一人のトレーナーもいないということです。

 とてもよく効く薬は、誰かには、とてもよくても、誰かには、毒です。誰にでも効く正しい薬は、ご飯のようなものです。大して効きません。それで健康であるなら医者に行かなくてもよいでしょう。ここでは両方のヴォイトレもやっています。

一方に偏向しない

「どの方法もよくない」「方法を使うこと自体がよくない」「しぜんのままがよい」という人もいます。これもよくある独断の一つです。

 一つの方法が正しいと思うと、他の方法を否定したくなるものです。これは歌唱において、一つの歌唱を正しいとして、他の歌唱を否定するようなものです。

 優れた人ならその危険性を知っています。他の人に習ったり、他の情報を得たり学ぶことを禁じません。振り回されるのは、トレーナーや方法を一方的に妄信してしまった人です。こういう人は、一時、はまった分、一度、嫌いになると全てを否定するから困るのです。

 トレーナーも方法も、あなたが自分を伸ばすために使うものです。それでうまくいく人もうまくいかない人もいるのです。

 うまくいかない人は、トレーナーや方法の問題でないことが多いといえます。うまく使えるようになるように努力することがあってこそ、かなうものです。

 一所懸命やると、どんなものでも何かに役に立つものです。目的をきちんと設定して、それを第一に優先するのは、なかなか難しいことです。

ヴォイトレにおける正しい方法

私は、指導を複数のトレーナーを交えて行なうことにしました。単に私の手伝いでなく、私と分担したり、私抜きにして、どのようなプロセスでどう効果が出るのかを検証したかったからです。検証するには、自分一人で自己評価しているだけではダメです。

 私のやり方を他の人にもやってもらったり、他の人のやり方でやってもらい比べてみます。

 ヴォイトレを受けてもらうのでなく、他の人に同じやり方で指導してもらうことで、検証できます。ただ、ヴォイトレでは、同じことといっても、その人なりのやり方がいろいろと加わり、変じていくものです。おのずと、人を育てることにもなります。

 正しい、間違いというのでなく、変じていく、応用されていくのです。改良するとどこかが否定されたり、落とされ、新しいものが加わっていくのですから、違うやり方のようにみえることもあります。

 試行錯誤を繰り返してきて、私がいえることは、「たった一つの正しい方法がある」という考えを捨てることが大切だということです。

 いろんな方法もあり、いろんな可能性もあり、いろんな人がいて、いろんな声もあり、いろんな唄もあるのです。

 逆にいうと、「これが絶対だ、他のは間違っている」という人のは、正しくないということです。

声楽家のトレーナー

トレーナーは声楽家が中心ですが、それは、共鳴の専門家として言語の元となる母音レベルで行なっているからです。ちなみに「音声」というのは、単に声でなく、何らか伝わるもののある声、つまり意味、感情を伝えるという使い方をしています。☆

 体のメンテナンスが万人に共通するところが大きいように、声のメンテナンスとして、歌手にも、俳優、ビジネスマン、一般の人にも共通なところにヴォイトレをおいています。

 歌唱指導には、声楽家がヴォイトレとしてはもっとも有利な位置にいると思います。歌唱の表現に近いのは、プロデューサー、作曲家、カラオケの先生、歌手出身のヴォイストレーナーかもしれません。それは歌い方や歌のための声の使い方で、声そのものを育てるヴォイトレ(これは私の狭義の定義にすぎません)とは異なるでしょう。

 目的により使い分けたらよいことで、どちらの方法が正しいとか、間違っているということではありません。

 スポーツも、監督とテクニカルコーチ、パーソナルトレーナー、マッサージ師、医者など、役割が分かれています。ヴォイストレーニングにも、同じように考えています。

 ヴォイストレーナーの場合はいくつもを兼ねていることが多いし、相手によって対応が異なるので混乱しやすく、いい加減になっているのが現状です。それに対応するには独力でなく、各分野の専門家を組織するとよいでしょう。理想としては、あなたの伸ばしたい能力を分析して、それぞれにコーチをチームとしてつけるのです。

歌唱に結びつくヴォイトレ、結びつかないヴォイトレ

ヴォイトレも、多種多様です。

 歌手の指導をしているヴォイトレは、歌手が相手、アナウンサーや声優の指導をしている場合は、アナウンサーや声優が相手、もっとも多い相手が、そのトレーナーの専門、つまり出身分野になるのはいうまでもないでしょう。

 私はそれらの基本、ヴォイトレ=発声の基礎と捉えています。そのために、どこよりも多彩な分野の人がきています。歌手の先生では対応できない分野や他に行くところのない人がたくさんきています。

 私にとって、ヴォイトレは基礎の基礎、それゆえオールマイティです。声は応用すればオールカバーできます。その分、質や内容が薄くなりかねないので、他のトレーナーや専門家と組んで、フォローしているのです。

感情表現と声

個性はくせでなく、オリジナリティとはいっています。くせも個性の一つです。私が考えるに、音楽としてはくせは邪魔ですが、人間味、人間性として魅力になりうるのです。しかし、私はその人独自の音色や声のおき方に出ることを求め、それをニュアンスといっています。

 

 

私はエンターテイメントとしてより、ミュージシャンとしての歌い手をみますから、くせや色が音楽のインパクトやスケールを制限するときは、除きます。しかし、それでも出てしまうのは、よいとします。感情や心は入れようとしないほうが、本当は伝わります。つくるといやらしくなり、色づいても飽きられやすくなるからです。

歌唱のテクニックと疲れ

私は、その歌い手特有のオリジナルのフレーズとみています。これが役者の歌と区別するものと思います。大きなフレーズでの中で使われる声質(音色)、これが日本では役者のほうが個性的です。音楽として、それを最大に活かした動きがでると魅力的です。

  

一般的には、ヴィブラートやシャウトとか、声の使い方の多彩さや器用さを指すことが多いです。一時、ミュージカルなどによく使われていたフェイクっぽいものなどです。ミュージカルでは音大出身が多いのでオペラのテクニックが流用されています。そこだけが目立って好感が持てません。こういうものをテクニックというなら、否定的な意味になります。

 テクニカルなことに優れた歌手は、たくさんいます。ホイットニー・ヒューストンやマライヤ・キャリーなども、そういう例でしょう。

 

バランス構成と展開

私は次の3つでみています。

1.切りかえて、展開させる(ドラマ性)

2.ピークでの働きかける力と納め方

3.結末、エンディングと余韻での印象

 

 

アーティストの売り、勝負どころはそれぞれに異なります。全体の捉え方も、一点で勝負するタイプ、全体でならして雰囲気のタイプでは違います。そのタイプと曲との相性があります。

 演歌の人がポップスを歌ってもなかなかうまくいきません。分野を超えて、完全にこなせたのは、日本では美空ひばりさんくらいでしょう。

 「演歌の力」というCDが出ています。演歌歌手が創唱したポピュラー歌手よりうまく歌っているのもありますが、演歌歌手の演歌の完成度には及びません。

しっかりメリハリつけて歌うために

歌のメリハリを発声からみると、

1.ロングトーン

2.クレッシェンド

3.デクレッシェンド

4.1~3の組み合わせ

 となります。長さ、強さ、そして変化のつけ方です。ここに、音色(トーン)や、発声の仕方、さらに地声、裏声などを考えると、いろんなパターンがあります。それぞれにトレーニングもあります。

 

一本調子は、均等に息も声も伸ばし、均等に切るからです。モールス信号みたいに、メロディの高さと長さだけをとっているからです。イメージの問題が第一、次に強弱フレーズのイメージ、それがあっても声が自由に動かなければ、メリハリはつきません。

 

― ― ― ― ―  (長)

― - ― - ― - ― - (長短)

 

 一時メロディを壊して、短いのはさらに短く、長いのを2~5倍くらいにとらせ、まず、長短の差を大きくさせます。次に、その長さを戻して強弱にします。☆

 曲が壊れてもよいから、思い切ってやることです。そこで何かインパクトがなければ、正しく合わせても伝わらないのです。

 いつも階段のように幅と高さを同じにするなといっています。古い寺の階段のように、味のあるメリハリを出します。最後に楽譜に合わせて確かめていくのです。

 総じて、声量やフォルテッシモのトレーニング中心でよいでしょう。大きく出すのはそれを使うためではなく、より小さく使うためです。

やさしく歌いたい

これは結構、答えにくい問題です。歌手のキーにわせようとすると、それが合っていないと、遠回りになります。自分の歌いやすい声域にしてください。小さな声でも「使う声域」をていねいにカバーすること、声に「やさしく」伝わる感じが出るのをつかむことです。

 呼吸法、発声法、レガート、ロングトーンなど、基本トレーニングを徹底しましょう。

 カラオケレベルでなく、プロのようにというのでしたら、強く、大きく、器づくりからはじめないと本当のやさしさは伝わりません。どこかを「やさしく」聞かせようとするのでなく、全体の構成から、相対的に「やさしさ」を出す必要があるからです。☆

 歌の流れ(フレーズ)と音色(トーン)に注目してください。このバランスを支える呼吸、体をつくりましょう。

 あなたが「やさしく伝わる」と思う歌手を何人か聞いて比べるとよいでしょう。まねやすい人からコピーして相違点を学んでください。

息と声の深さ

お一人ではどうでしょうか。身体が動くようになってきたら、一体感があること、息だけや声だけなら、私やトレーナーと、どれかのトレーニングや息や声を出し合って比べるのも悪くはないのですが、人と競うものではありません。過去の自分よりも力がついてきたらよいでしょう。息吐きは、耐久力でもみられますが、やりすぎると危険です。

 表現の必要性によっても違うので、ゴルフ選手になるのに100メートル走や腕立てを競うほどのギャップがあることではないでしょうか。もちろん10メートル走るにも息がもたないとか、腕立てが10回もできないという人は、プロのゴルフ選手にはいないでしょう。プロでも70歳くらいになればわかりませんが、ゴルフは極めてメンタルにも負うので少し似ています。

 体と技術はあるところまで相関すると思います。身体としてなら、フィットネスジムやパーソナルトレーナーの基準でよいでしょう。総合的に捉えるか、過去の自分との実感でみてくださいということです。

強い必要性

リピートと空回りは違います。整体やカイロに通うよりも、それから脱却できるように考えてみてはいかがでしょう。お金もバカになりません。リラックスのトレーナーのように、相談相手が欲しいというなら、それもよいでしょう。

 サプリやマッサージには頼っていません。それがよいのでも偉いのでなく、時間とお金の使い方です。のどの管理は、心身からです。管理や保守、守るより、ますます強化する、鍛えるという攻めのことばのほうがよいですね。

 いつも医者に通わざるをえなくなっている人は一度、相談にいらしてください。違うお医者さんをお勧めすることもあります。

 多くの人は、調整より強化、状態より条件を変える必要があります。そのことをわかるために、オペラや声楽という大上段の目標から強い必要性を与えます。遠回りのようで早い、確実です。基本、基礎とは、本人が習得できてから気づくしかないのです。そして、いつも誰もが問うことです。