10年経つと、その20年ほど前のプロのすぐれたところに改めて気づいていく、というのが、20代以降の私のパターンのようです。プロデューサーは、何年か先のプロとしての優れたところを見抜くし、ファンは、新しいプロを認めます。それから比べると、私は遅れているといえます。しかし、実のところ、私は10年ごとに音声に求めるべき基準を下げているわけです。よくいえば、柔軟になり、その人のトータルの才能をプロデューサー的見地でみるようになってきているのです。
業界に関わっていると、そうなるわけではありません。そのことで、プロになりたい人に適確にアドバイスできるし、他のトレーナーの相談や声以外のことについてもアドバイスできます。ここには「声をよくする」人や「プロになりたい」人もいらっしゃるので、この要素ははずせません。
欠点よりもよいところをみる、これも私は声に限っていたのですが、トレーナーたちに任せられるようになったからこそ、プロとして仕事として、その人がやっていける要素を見出すことができるようになったともいえます。
私は、10年古い感覚でやってきたから、20年以上年配の人たちとやってこられたし、世に出てたくさんの仕事をいただくことができたと思うのです。