私が1フレーズにこだわるのは、その人の表現と判断の精度をあげるためです。
ど真ん中にくればホームランとなる力を養います。そのために再現性が必要で、そのためのフォームもいります。タイミング、勘、筋力、神経など、あらゆる心身の能力のパフォーマンスを上げておくことです。ここに知識はいりません。
喉が他人と違っていたり、声が違っていても、気にすることではない。むしろ可能性を豊かにしていると捉えることです。普通の人ならデメリットになることをメリットに高めてこそ、個性であり、一流への道を切り拓くのです。
そこに研究者の協力があるとよいと思います。日本のスポーツも、それで補強されてきました。しかし、誰もがそこで力を培ったのでなく、育った人は、高める機会をもらっただけなのです。多くのアスリートは誰よりもたくさん練習し、覚悟し、自力で工夫してきたのです。頭を使うなら、自分のトレーニングにどう全力を投じるかということです。
実際にはスタートライン前でうろうろしている人が多いのです。
5キロ走ったら足が痛くなった、だから病院に行って、パーソナルトレーナーについて、というのは、なんと贅沢、虚弱かということです。
喉の手術をしても、ドクターの制止を振り切り、2,3週間で現場復帰し、高熱や大病でも、それを隠して気づかせない、そんなプロも、同じ人間です。喉が合金でできているわけでもないのです。トレーニングで鍛え、リスクを背負ってきたからこそ、微妙なコントロールで鋭く使えるようになるのです。
それに対して、第三者の観点からサポートしているのが、トレーナーです。
昔の私は無視か制止をしていました。アーティストは暴走するからです。今はムチを入れなくてはなりません。アメを与えすぎられているからでしょう。これは時代が変わったというより、人間力の劣化と思います。