声と音楽の配合によって本当の歌が生じる飛躍の瞬間があるのです。
それを、予期して引き出すのが、私の中では、最高のレッスンです。そのようなレッスンは、100回に1回、100人に1人ですが、確かにあるのです。そのようにセッティングしないと、才能ある人が来ても、奇跡の生じることはありません。そのきっかけや兆しだけでもかまいません。10回に1回、何かが出てくるようなレッスンであれば、よい関係です。
頭でっかちになること、偏見をもってみること、意図を露わに出すのは、避けることです。無理な発声の音域や声量では難しいフレーズでは、こなすのに精いっぱいです。新しい可能性の出てくる余地がないのです。自分でできることでしっかりと歌い込むのは、基礎ではないのですが、大切なアプローチです。