私がヴォイトレの本を初めて書いて30年経ちました。発声について欧米から学んだ人が書いた本とは異なる、日本人としての本でした。それはそのまま、シンコーミュージックの「基本講座」は理論、「実践講座」はメニュを中心の本として世に出しました。
いくつかのカラオケ指導の歌の本や医者の喉の本などはありましたので、喉の仕組みあたりに引用させてもらいましたが、それ以外は、ほとんど独創的なものでした。
「ロックヴォーカル」とついていたものの、ポピュラー全般を対象にし、歌の本なのに歌には触れず、歌手や歌詞にこだわらず、声についてまとめました。一から声づくりをしていくために、当時の私のヴォイトレの活動を参考にまとめたものでした。
意図したことは、日本人の感覚や体に焦点をあてることです。これはベーシックであったために役者や声優などでも使えるもの、今では邦楽から一般のビジネスマンにまで応用されているものとなりました。その分、対象、レベル、目的は、やや不明確になったということです。その点は、岩波ジュニア(10代、教師向け)や祥伝社(女性や中高年向け)、英語やビジネスなど、対象によって異なる本へ分化させたのでカバーできたと思っています。