基準は、「読むだけで、声と歌が見違えるほどよくなる本」(音楽之友社)に述べました。
私は、同じ曲を80人、80回、一日で聞くようなことを10年以上やってきました。歌った本人たちよりも私の耳がもっとも厳しくつくられました。
そこから、曲のよさ、詞のよさなど抜かしていく作業、その人への個人的な感情も(そのくらいの人数になると誰が歌っているのかもどうでもよくなる)努力や全力が伝わるというのも影響させない作業を通じて、ピュアに聞くことができるようになりました。心身も耳も疲れてくるから、やる気や勢いだけを通じているようなものでは拒絶反応が起きるのです。
そこで聞きたいと思うのは、心身によいものです。ほとんどの歌が、失礼ながら、続けて聞くのに努力を要します。その努力ができなくなると聞こえなくなります。心地のよいもの、自分の免疫力を高めるものだけが残ります。クリアに聞こえ、それは清涼剤のように離しがたくなる、必要とされる。(といっても80分の1)こういうレベルでみれば、歌は、いわゆる音楽性のあるものがNo.1となります。☆役者などの歌は、全力で、あるいは雰囲気、その人となりが伝わっても、二流となるのです。