考え方の法則を、ルールのようにまとめたのが、「ヴォイストレーニングがわかる!Q&A100」(音楽之友社新書)です。私の経験をまとめた「ヴォイストレーニング基本講座」(シンコーミュージック)の初版から10年ほどかかりました。そこで考えるだけでなく、その実践でのプロセスや効果まで入れて、ほぼ完成させたのが「読むだけで、声と歌が見違えるほどよくなる本」(音楽之友社)で、さらに10年ほどかかりました。
それは、このように説明するのに時間がかかったのであって、ニュートンのプリンピアのようなものです。比べるのは大それたことですが。かれは「リンゴが木から落ちたのが、地球に引っ張られた」ということを、直感としてすでに見抜いていたのです。誰しもリンゴが木から落ちるのは知っているのに、その本質をみようとはしなかったのです。そのニュートンよりもずっと早くコペルニクス的転換をして見抜かなくても実践できていた人はいました。
すぐれた声の使い手は太古の時代からいたのです。それは、この100年に関しては、音源でも聞くことができます。世界中の一流レベルのもたくさん残されています。