例えば、拙書の、「ヴォイストレーニング基本講座」(シンコーミュージック)と「カラオケ上達方」(音楽之友社)とでは、私のスタンスを逆にとりました。それは、一方が正しく、他方が間違いというのではありません。一方が浅く、一方が深いということでもないのです。カラオケの本は、応用から入り、基本講座は、基本から入ったのです。つまりは、基本から応用か、応用から基本ということで、トータルとしては、同じことです。どちらも、本来は、基本と応用を行き来をしながら深めていくのです。
何が根本的に違うのかというと、すでにもっている器のなかで調整していく、つまり、使い方によってならしていくのがカラオケです。これは最近の巷のヴォイトレに近いスタンスです。それに対し、今の器をこれから大きくしていくのがトレーニングです。体感覚を大きく変えていくのが、基本講座での歌手、役者へのアプローチです。