日本の共通語は、東京の下町ことばをもとにしていながら、実際は、放送のために使われていることばです。共通語は、私の考えでは、NHKの編纂によって認可されたり、変えられたりしていく、あまり話されていないことばです(「日本語アクセント辞典」などが教典)。
日本人の規範好きの性格は、細かいところまでこだわり、制限、ルールを統一させ、全員に普及させるのに並々ならぬ能力を発揮します。全世界でNHKほど一様の基準で、アナウンサーだけが、きちんとそのことばを扱っているという国はないでしょう。列車の発着時間と同じくらいに几帳面なのです。ちなみに、フランスなどは、全国民に自国文化や言語を大切にするため、他国の文化が自国の文化に流入することに制約があります。
世界でもこんなことができるのは、他にドイツ人くらいで、頑張っているのは北朝鮮くらい、でしょうか。これは明らかに標準語としての理想化です。
私は多くのアナウンサーと関わってきましたし、NHKの技術者で、ここに通っていらっしゃる人もいます。
「アナウンサーのように話す」という基本は、民放のパーソナリティは別として、声優、朗読の人にもけっこう共通しているものを感じます。そこから離れる苦労を先日、アナウンサーの松平定知さんの本で読みました。