私の場合は、早くに本を出したために、自分より優れた人たちに巡り会えました。それとともに、まだ大したことのなかった私の声や方法について興味を持ってくれた、ある意味で、とても優れた感性や才能のあった人たちに巡り会ってきたわけです。
例えば噺家さんや声優さんもプロの人が先に来たのです。そういう人たちと長く続けている間に、いろんな材料が溜まってきます。お弟子さんや生徒さんなどには、プロの人ができているレベルのところに到達させる、そういう人たちの代わりに教えるのですから、ノウハウも溜まります。それで声優の本などもできたわけです。
先達や大勢の方との試行錯誤する10年の下積みがあって、ハイレベルの人と切磋琢磨して、ようやく自分の方法や自分自身の声について客観的な位置づけを得るに至ったのです。