私は、トレーナーには、いらしてから2、3年、本人のやりたいようにやらせます。生徒に対してきたのと同じスタンスです。本人が生徒と接して学んで自ら気づいて変わるのを邪魔したくないからです。これまでの私たちと異なるやり方やメニュを、ここで発達させてもらうと、お互いの次の発展につながります。
ですから、最初に他のトレーナーや私のやり方を学ばせません。日本では、とても新しいことと思います。ある程度、本人が対処法を確立しないと比較もできないからです。いらっしゃる時点で、少なくとも5、6年以上の本人自身の声のキャリアがあってのことです。
最初は、新しいトレーナーは遠慮して、誰にでもわかりやすく伝えようと、あまり我を出さないものです。そこでは、大体よくも悪くもない。ベテランのトレーナーとは、違う新鮮さがあり、生徒にも好まれます。それも大切な武器です。
ところが、その後、新鮮さがなくなり、偏り、個性と共に、くせが出てくるのが普通です。自信をもつとそういうようなことになります。そこからが本当のレッスンになるかどうかの勝負です。独自の存在価値をもって自立できるかということなのです。